AIと言語化
2026-07-30

AIに個人情報を入れていいのか?僕が使っている2段階の線引き

AIに個人情報を入れていいか質問する人は、危ない人ではなく止まっている人

「AIに個人情報を入れていいのか」で検索して、ここにたどり着いたなら。

たぶん、探しても答えが出てこなくて困っていたんじゃないでしょうか。

調べると「入れないほうがいい」とだけ書いてある。でも、じゃあ何がダメで何がいいのかは書いていない。僕もそうでした。

なので今日は、僕が実際に使っている線引きを、全部書きます。結論から言うと、2段階で考えるだけです。

なぜ「調べても分からない」のか

まず、法律を見てみます。個人情報保護法では、こう定義されています。

  1. 生存する個人に関する情報であること
  2. 特定の個人を識別することができるもの
  3. 他の情報と容易に照合すれば識別できるものも含む

大事なのは3つ目です。単体では誰か分からなくても、手元の別の情報と合わせて分かるなら、それも個人情報。

つまり「これ単体なら平気」は通用しません。組み合わせで決まります。

AIに入れてはいけない情報とは

それ単体でアウトなものもあります。

このあたりは考えるまでもなく、入れないことをおすすめします。ここまでは、調べれば出てきます。問題はこの先です。

法律の定義だけでは、動けません

法律の定義には、「該当するか、しないか」の線が1本しかありません。だから読むと、全部ダメに見えるんです。いわば全部赤信号に。進めない。

僕が相談を受けるとき、いちばん多いのがこの状態です。「全部ダメ」か「全部OK」の、どちらかになっている。その間がない

でも実際に使う場面って、ほとんどが「その間」なんですよね。

僕が使っている2段階の判断基準

1段目は個人が特定できるか、2段目は漏れたとき自分が背負いきれるか

僕が実際にやっているのは、これだけです。

1段目:この情報で、個人が特定できるか 2段目:漏れたとき、その被害を自分が背負いきれるか

1段目は、さっきの法律の定義と同じです。大事なのは2段目です。これを足すと、判断は自分で、できるようになるんです

たとえば同じ「名前」でも、答えが変わります。

すでに公開しているニックネームなら、特定はできるけど、自分で責任を背負えます。だからAIに入れても良い。もしこれが本名+住所のセットになったら、そこに対して何かしらのリスクを考えてAIには渡さない。

同じ名前でも、セットにするものによって変わるんです。

これはあくまで僕の持論です。だから「あなたにはこのルールが適切です!」だなんて言えません。

「自分で決めるしかない」と言われると突き放されたように感じるかもしれませんが、逆だと僕は考えています。自分で決めていいから、安心して動けるようになります。

ルールは人のものを使うと、窮屈になる。靴と同じです。足の形は人それぞれ。「その靴借りるね」って借りても、フィットしない。その靴で走ったら怪我します。

自分に合った、自分が安心できるルールを自分で決める。不安だと思います。それでもこれができるようになると一歩前にすすめるんです。

とはいえ、例はほしいところ。僕の例を紹介しますね。

他人の情報をAIに入れない理由

ここが、僕がいちばんはっきり境界線を引いているところです。

自分の情報なら、背負うかどうかを自分で決められます。でも他人の情報は、決められません。

取引先の資料。お客さんの名前。顧客情報。これらが漏れたとき、困るのは僕ではありません。

僕に決める権利がないものは、最初から外す。

神経質すぎると言いたいわけではありません。ここだけは、自分のためではなく相手のための線だと思っています。

「他の人が書いたブログや投稿を、AIに読ませていいのか」とも聞かれます。これは要約して自分が理解するだけなら、僕は迷わずに読み込ませます。もう読まれているものとして考えています。

でも、それをそのまま自分の記事として出すのは別の話です。判断が分かれるのは「入れるかどうか」ではなくて、「どのように出すか」が大事になってきます。丸パクリではなくて、そこに対して自分の考え・意見を乗せて発信することですね。

画面録画に個人情報が映っていたときの対処法

隠すところと、見せるところを分ける

先日、AIツールの使い方を説明する動画を作りました。パソコンの画面をそのまま録画したものです。見返したら、こんなものが映っていました。

画面録画をそのまま出すと、ほぼ必ずこうなります。自分のことなのに、見返して一番驚いたのは自分でした。

ここで最初に考えたのは「その部分を切ってしまおう」でした。でも切ってみたら、操作の流れが飛んでしまって、何をしているのか分からない動画になったんです。

守るために切ったら、届かなくなった。

それで、やり方を変えました。

動いていない部分を静止画にして、その上からモザイクをかける

こうすると、隠したまま「どこを押すか」は見せられます。

隠したものメール、電話、生年月日、住所
残したもの設定画面の「言語」の行

全部消せば、たしかに安全です。それだと動画の意味がありません。守ることと、届けることは、両立させます。

あともう1つやったことがあって、画面に「モザイク部分は個人情報です」と書きました。隠すだけだと、見た人が「何を隠したんだろう」と気になる場合がありますので。先に言ってしまえば、それが1つの安心材料になるんです。

会社の資料をAIに入れていいか迷ったとき

これがいちばん多い相談です。僕はまず、問いを置き換えます。

「入れていいか、悪いか」だと、回答が難しいんです。これをこう言い換えます。

入れたことを相手が知ったとき、 プラスに思うかマイナスに思うか

こうするとシンプルになるんです。その他にも、基準の優先順位はこんな感じです。

  1. 会社にルールがあるなら、それに従う
  2. 相手のAIへの関心度を、会話の中で測る
  3. プラスに受け取る相手なら、入れる判断ができる

1番が大前提です。ルールがあるなら、そこで終わり。自分の判断で使った場合、後から何を言われても自己責任。あまり良い結果にはならない可能性が濃厚です。こういうときに信頼貯金が役に立ちますね。

2番は意外と大事で、同じ資料でも相手によって受け取り方が全然違います。「AI使ってくれてるんだ」と喜ぶ人もいるし、「勝手に入れたのか」と思う人もいる。ここは会話の中で温度を見るしかないです。

個人情報が不安な人に向いているAIツール

ひとつだけ具体的なAIの話をします。

Gemini Notebook(前の名前はNotebookLM)というGoogleのサービスがあります。これは「入れた資料の中だけで答える」AIです。そして入れた資料を勝手に学習しない、と公式が言っているツールになります(フィードバックを押さなければ)。自分でどこまで渡したかも分かりやすい。

ChatGPTは会話の流れで、うっかり書いてしまうこと、情報が混ざってしまうことがあります。でもNotebookは、最初の操作が「入れる資料を選ぶ」なんですよね。

構造として、人が選択できるから。余計な個人情報が入らない。良かれと思ってAIが勝手なことをしないAIになります。だから僕は、不安が強い人にはここから触ってみることをすすめています。

今日やること:3つだけ決める

線を1本引くと、動けるようになる

長くなりましたが読んでいただきありがとうございます。ここまで読んでいただいたあなたに。1つ宿題です。

「これは絶対に入れない」と決めるもの、3つ。書き出してください。

僕の場合はこうです。

3つ書けたら、そこから先は2段階で考えればいいだけになります(もちろん増やしても大丈夫です)。

こうすることで、不安が消え……る訳ではないんですが、不安が減ります。

人は不安があると行動が止まる生き物だから。だからこそ、何を入れないのかを事前に決めて。個人情報への不安を事前に可視化する。これはNGだと明確に決めること。

これができると、迷う時間が消えます。迷う時間が消えると自分のやりたいことに時間が使えます。みんなとワイワイするのも良し。稼ぐも良し。僕は、学び・交流することに使います。

最後になりますが、セキュリティの技術的な話は、僕の専門ではありません。本気で知りたい方は、詳しい方に聞いてください。僕が話せるのは、あくまでも僕の判断の仕方だけです。

でも、多くの人が止まっているのは技術のところではなくて、判断のところだと認識しています。「どこまでならいいのか」が決まっていないから、手が動かない。決めることから始めませんか?

よかったら、3つだけ書いてみてください。書いた瞬間から、少し気持ちが軽くなって歩みも軽くなると信じています。

りょう
AI講師・言語化コーチ。「AIと言語化は同じスキル」をテーマに、AI初心者の方への伴走と発信をしています。
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